カノンside

「ですからね、カノン様。
私、言ってやったんですよ。
そんなんで本当に国が守れると思ってんのかー!って」

「あ……そうですか。
……あはは……」



はぁ……。

もう何人目だろうか……。

こうして私の元に自分のアピールをしてくる議員達は……。


今は……そんなことしてる場合じゃないのに。


「それじゃあ、カノン様。
よろしくお願いいたしますよ。
期待してますから」

「……ありがとうございます……」


何とか追い出し、私はため息をつきながらイスの背もたれに体重を預ける。


本当に疲れた……。


もう……。

みんな自分のことばっか。

そんなこと考えてないでナツメ町のことをもっと考えてほしいわ。


デモはまだ続いてるんだから……。


「カノン様はとても慕われていらっしゃいますね」

「冗談にしても笑えないわ。
少し前まで私のこと小娘扱いしてた人達なんだから」


私が頬杖をつきながら不満気にそう言うと、ウェルスは小さく笑った。