「校長という肩書きを持つ私がなぜ、こうして教室にいるかと、皆疑問に思っていると見透かそう。もしくは『校長』となっていることに気づかず、上の章題を見返しているあたりか。さておき、言っておくが、校長という職が暇というわけではない。君たちのイメージとしては、校長と言われれば、豪華な椅子に座っている頭が薄い老人を真っ先に思い浮かべようが、れっきとした教員であるのは変わりない。代表者として実は、学校内にいることが少ないのだ。方々の会議に出ては、発言し、時には重要な決定をする時もある。それこそ生徒諸君のためになることしかしていないよ。私としては、世間一般に広まる校長のイメージが、『ただ座っている者』という私腹肥やす王の概念と相違ないものになったのかを問いたいが、ああ、『偉い』という観点からそう思われてしまったのかな。『偉い』から考えれば、周りより――つまりは下の者(他の教員)よりは『楽をしている』と考えられるのも無理ない話。いやいや、そんなことはないと先刻述べた通り。私も私で苦労はしているのだよ。白々しいことこの上ないかね?あくまでも、私が校長の肩書きを持っている上での台詞だ、大目に見てほしい。