ケータイ小説 野いちご

泪澪泡沫


変換と更新




昼頃、母さんが病室に来る。
聞かされたのは、本からコピーされたような文章だった。


「泪、貴女何かあったら相談して頂戴…一人で抱えないで?」

「…うん」


どうにか頷いたが、どうせ言いたい事は「何勝手に騒ぎ起こしたんだよ、せっかくなら死んで保険金寄越せよな。同情周りから買うから。」位だと思う。
気持ち悪い。


冷めた目で母さんを見れば、居心地悪そうにするなり「もう帰るわね、」と病室を出ていく。



「……綺麗、」


立ち上がり、窓際から外を見れば思わず呟く。

この病院は患者の精神を気にかけているのか、人気のない森の中に建てられている。


夜は直ぐ暗くなるが、昼の今は木漏れ日や風に揺れる葉が絵画の様に美しい。

それに、此処からは人が見えないのだ。病室は集団で使用する物だが、今の所は私一人だから居心地が良い、ずっと此所に居たいくらいだ。


でも、それが許されないのは分かってる。
本来なら目は治っているし、退院は今日だったのだから。

ただ、精神が不安定だからと一週間退院を先伸ばししてもらった。それだけ。



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