ある日のことだった。




「晶――っ!
出て来―――いっ!」


「バカ。
そんなに叫んだら他校から乗り込んだのがバレるだろ」




丸聞こえですよ。
晶って恐らく笹原晶のことだよな。


なるべく関わりたくない。幸い私はベンチに座っていて、奴らには背中を向けている。余程のことがない限り声を掛けられはしないだろう。このまま静かに奴らが通り過ぎるのを待ってよう。



笹原晶はと言うと安眠中。
…私の膝の上で。




『こんのバカップル!』




「違う!」




しまった。
頭の中で浮かんだ守の言葉に思わず声を出してしまった。


慌てて口を塞ぐも遅かった。


背中からじーっと感じる視線。プラス…