クソッ。弘司の奴、騙しやがって……


俺は大学の友人の榊原弘司に誘われ、のこのことこの洒落たレストランに付いて来てしまった。まさかそれが、合コンとは知らず。

『悠馬、今夜はバイト休みだよな? みんなで飯食いに行こうぜ?』

弘司は確かにそう言った。“合コン”の“ご”の字も言っていない。明らかに俺を騙したんだ。合コンと分かっていたら、俺は間違っても来やしなかった。

こんなの、時間と金の無駄じゃねえか……


「悪いな、悠馬。金は全部俺が持つからさ」

「うるせえ。金ぐらいあるさ」


本来なら、“当たり前だ”と言って弘司に出させたいところだが、俺にも意地がある。特に、人から貧乏人扱いされるのは我慢出来ない。

実際のところ、貧乏ではあるのだが……