『……ねぇ、どこ行くのこれ…』 風生が、私をお姫様抱っこして、階段を上がる。 ……階段さえ知らなかったよ。 私はおとなしく抱っこされながら上に着いた。 「部屋」 風生は、簡潔にサラッと答えて黙った。 うん。 解ってるよ。 解ってるけど。 無口なの解ってるけど。 もうちょっと優しい言い方ないの…? 私はふて腐れながら部屋に入った… いや、必然的に入った。 だって、風生が私を抱っこしてるんだし。