【月side】



あたしの唯一嫌いなものは

うっとうしいくらいに眩しい太陽だった。



あなたが最近体験した幸せってなんですか?


失って初めて気付く事もあるけれど

もう元には戻れない。



誰かを傷つけて『幸せになったね』と

人々は笑っていた。


それが自分自身を傷付けているなんて

気がつかずに……。


『命があってこの世界で生きてられるんだ。それだけで生きるって事自体が誰よりも幸せで誰よりも凄い事なんだ。』


『え…?』


『俺はもう二度とこの世には戻れない』


『結大…?』


『お前に本当の姿を知られてしまったからな。でも俺は悔やんじゃいねぇ。大切な人を守れたんだ。』


『まって!!消えないで…。』


『月。又別の世界で会えるよ…。』


奴はあたしに漆黒に染まった羽を一枚だけ

残してこの世を去った。