教室へ戻ると真理が心配そうに駆け寄って来る。


私は真理に教科書への嫌がらせの事を言わずに、気分が悪くなっただけで、寝たら直ったと説明した。


『お昼は食べられそう?』

「うん。お腹空いて目が覚めたからね。」


笑いながら言う私を見て、ほっとした様子だった。



お昼を食べ終えて、トイレへ向かう。


『「あ…」』



新井さんがトイレで化粧直しをしてて、お互いを発見したとき、声が重なった。


『こんにちは。直樹君の彼女さん。』


にっこり笑って挨拶される。その余裕っぷりに腹が立つ。



「…どうも。どちら様でしたっけ?」



知ってるくせに知らないフリして答える。
それが面白くなかったのか、笑顔から一変して怖い顔つきになった。


『直樹君、今日古典の時間教科書なくて先生に怒られてたよ?可哀相…あなたが貸してあげるんじゃなかったの?』




…忘れてた!!
って、覚えてても貸せる状態じゃないから無理だったけど…



『私が見せてあげたからご心配なく。』



勝ち誇った顔してトイレから出ていく新井さんを訝しげにみる真理。



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