キーンコーン……


授業を終える鐘の音が鳴る

なのに、しつこく授業をやめようとしない、古典担当のオバチャン教師。



イライラしながら、終わりを待つ。


もうっ!早くしてよ!次、音楽で移動しなくちゃいけないんだよ!?
早く終わってくれないと、間に合わなくなっちゃうじゃん!!



やっとの事、教科書を閉じて教壇から下りるオバチャン教師。



私は急いで後ろのドアへ走り出した。



『ちょっと紗英!?どうしたの?』



親友の真理に声をかけられ、とまらずに教科書を掲げる。



「直樹のとこ行ってくる!音楽教室は先行っててっ!」






―そう、私がこんなにも焦っていた理由―

彼氏の直樹に古典の教科書を届けて、それから音楽教室へ向かわなくちゃいけないから。




.