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正気を取り戻した匠の様子に、広間の空気が微妙にだが確実に変わった。


まずは飲み物が配られ、各々が水分補給をする。


流れているテレビを見ながら、匠は少し温くなったオレンジジュースを一気に飲み干した。



悲しみの涙と、広間の暑さにかいた汗。



脱水した身体に、甘酸っぱい水分が染み渡る。



「おっ、坊主。いい飲みっぷりじゃないか。さっきまでとはえらい違いだな」