「タカシナ先生、辞めちゃうなんてショック」

「本当。先生は別に悪いことなんてしてないのに」

コンピュータ部員達は口々にタカシナを惜しむ言葉を言いながら、キーボードを打ち続けた。

「ねぇ、ナツキもそう思うでしょ?」

「うん…そうだね」

あの後、男性を殺した犯人はすぐに捕まった。

タカシナの言う通り、暴力団関係者だった。

タカシナは男性のしていたことを、暴力団に密告したというところだけ、関係者に告げられた。

男性と同じく、ハッキングを趣味にしていたことは伏せられた。

理由は警察のコンピュータを専門としている部署から声をかけられたからだ。

コンピュータに詳しく、優秀なタカシナを警察は欲した。

そしてハッキングの件を黙っている代わりに、警察に入ることになったのだ。

でもナツキは思う。

それが一番安全だと―。