「派手にやられてるね…」


先輩も膝ま付いて佳の傷を見る。




「ここじゃあれだし、俺の家へ行こう。
ここのすぐ近くだし…
傷の手当てもしないとだしね」



「そう…ですね
佳、先輩の家へお邪魔させてもらお?」



「……」



佳は何も答えずコクリとうなずいた。




先輩の家へ行ったら先輩のことも知れるかな…。














「救急箱持ってきたよ」




「じゃぁ私が手当てしますね」



「うん、お願い
二人はお茶でもいい?」



「はい」



「……コク」



「りょーかい」




先輩は台所に行って飲み物を用意しに行った。




私は先輩の家の救急箱から包帯を取りだし佳の腕に巻いていく。




私を必死に守ろうとしていた佳の腕はアザで青紫色になっていた。




「佳…ありがとね」




お礼の言葉をすっかり逃してしまっていた。



「…実梨が無事で良かった…」




佳は元気なく笑う。



そんな佳に私も小さくせつなく微笑んだ。




「…実梨ちゃん、内野宮くん、俺の話を聞いてくれる…?」



「先輩…?」




お茶を入れて、机の上に置きながら言う先輩。




私は佳の手当てをし終わり、佳と一緒に先輩の向かいのイスに座った。





「先輩、話って…」




「俺の昔の話…
二人には話しときたいから…」




先輩の昔…。