そして、あの日から先輩とよく学校で出会うようになった。
朝の時も昼休みで売店に行った時も夕方帰る時も、ちょくちょく会っては話しかけられていた。
そのたんびにいつも先輩にくっついている早瀬先輩に睨まれるけど…。
そんなことが続いた日々は、気づけばもう秋の体育祭になっていた。
今年は高校生初めての体育祭だ!
わくわくする!
「実梨と違うチーム…」
私の隣でショボーンと1人楽しそうじゃない人がいた。
…佳だった…。
「佳は白で、私は赤…
まぁ、お互いがんばろうよ!」
背中をポンと軽く叩く。
「あれ実梨ちゃん、同じチームだったんだね!」
「…チッ」
楽しそうに声をかけてくれる声と、嫌な舌打ちをする音…。
あぁ、最悪だ…。
「黒木先輩と早瀬先輩も赤だったんですね」
「そうそう!
でも、こう人が多くちゃ知ってる人いても気づかないね…」
「そ、そうですね…」
苦笑いしながら答える。
痛い、痛い。
早瀬先輩の視線がすごく痛い…!
早瀬先輩ってこんなに嫉妬深いんだ…。
恐…。
「残念だね、内野宮くんは一緒のチームじゃなくて…」
「いえ、まぁしょうがないですから…」
「…しょうがないですますなんて、愛が足りないんじゃないの?」
睨んでばかりいた早瀬先輩が久しぶりに私たちの前で口を開いた。
久しぶり…と言っても、何で嫌味を言われなきゃなんないんだ…。
そう思っていると、佳が私の前に出てきて。
「実梨は恥ずかしがりだから、うまく愛情表現を出せないだけです…」
と言った。
いつになく真剣な表情で…。
確かに私は恥ずかしがりやで佳にはうまく愛情表現ができていないかもしれない。
佳、わかってくれてたんだ…。
「ふんっ!
行こ、愁!」
「ちょっ…理香!」
先輩は早瀬先輩に連れられ、どこかへ行ってしまった。
佳に、あんなことを言われたのは初めて…。
ちょっとだけ、佳への想いが戻ってきたような気がした…。