六月。

ロンドンは夏を迎えた。まだそれほどの気温の上昇は見られないけれど、窓を開けて寝てしまいたくなる程度には夏。

開かれた窓からは様々なものが忍び込む。

凝った細工の宝飾品を狙う古色豊かな怪盗や、成長を拒否した空飛ぶ少年。ただの夏風、街からあふれた霧。




――天使も夢見る音楽も。