「耳……いてぇ………」



「ご、ごめん……」



あの後。


廊下で思いっきり叫んでまーちゃんから痛い一撃を貰った私は渋々、高橋くんからジャージを借りることになった。



「わざとじゃないんだよ?ただ、ちょっと、その……びっくりしちゃったって、言うか……」



「いや、うん、わかってるから。ってか何回も言うけど、悪いのは俺だから」



あの叫びを隣で聞いていた高橋君は、耳が痛くなっちゃったみたいで。


未だに耳をトントンと叩きながら歩いていた。


そんな高橋くんの反対の手には、ジャージの入った袋が持たれていて。


これからそれを着なくちゃいけないんだって思うと、頬が熱くなるのを感じた。



「……着いた」



そして気付けばもう、シャワー室の前。


その扉を見上げればため息が出てきてしまいそう……。