「どこ行くか、考えてくれよ?」


「あ、うん……」


 外を流れる景色に目をやりながら、どこに行きたいかなあ、と考えようとしたんだけど、つい別の事を考えてしまった。


 いつもここに、あの三島夫人が座ってるんだよね……


「どこ行く?」


「ホテル」


 タイヤがキーッと悲鳴をあげ、車が道路の左に急停車した。

 びっくりして陸を見ると、陸も私に負けないぐらいのびっくりした顔で、私を見ていた。


「お、おまえ、今何て言った?」