ズズッ

シーンとした部屋の中、少女の鼻を啜(スス)る音だけが響く。



外はさっきの雨が嘘みたいに止んでいる。


窓を開けるとくすんだ藍色の夜空が俺達を包み込むように広がっていた。



「ココアでも飲む?」

「・・・うん」

やけに素直な少女は、照れ臭そうにはにかむ。


最初の警戒した様子も全くない。


そろそろいいかな。

やかんに火をかけ、落ち着いてきた少女に気になっていたいろいろなことを聞き出すことにする。




これから一緒に暮らすんだ。

知っていた方がいいことはたくさんあるはずだ。