見知らぬ土地の静かな夜の小道を二人並んで歩く。


「そう言えばさ、」


「ん?」


「まだいちるちゃんの本名聞いて無かったんだけど、教えて貰って良い?」


「あ、」


そう言えば、まだ言って無かったっけ。


「任谷いちる(トウヤイチル)」


「名字、格好良いな」


「そうかな」


「うん。いちるって呼ぶわ、いちるも俺の事、架で良いよ」


「分かった。

ってか、架って本名なの?」


「え、普通に本名だけど、何で?」


「芸名かと思って」


「あー、そっか。
俺はまんま使ってるから」


「そっか」