「きゃーっ、可愛い!!」

やって来ました、動物園っ!!

私は入り口前に貼ってあるシロクマのポスターから、もう大興奮。

そんな私を陸くんは微笑んで、怜斗くんは恥ずかしそうに見ている。


「入場券売り場は……そこね」

私は売り場に向かうと、大人三名分を買おうとした。

「あ、菜乃はいいよ、僕が払うから」

「え、陸くんお金なんてないでしょ?ぬいぐるみだったんだ……むぐっ」


陸くんは私の口を抑えて言った。

「それはこっちに来る支度金をもらってるから大丈夫。それより、外でぬいぐるみとか言わないで」

「ご、ごめん……」


陸くんは頷いて、チケットを二枚買った。

怜斗くんも自分の分を買う。


私は一人、赤くなっていた。

陸くんが私の口を抑えたとき……。

すごく顔が近くて、しなやかな指が私の唇に触れて、ドキドキした。

私、おかしい。

ぬいぐるみにドキドキするなんて……。