初めて話をしてから一週間がたった。


…松村くんは、まだ図書室に来ていない。


もう、あの約束、忘れたのかな。

勝手に約束だと思ってる私が馬鹿なのかな。


松村くんには、彼女がいる。


でも、こりずに毎日図書室に通う私も、すごいな…



そして今日も、四時限終了のチャイムがなった。


図書室の前に着いて、ゆっくり目を閉じた。


来てますように。

話ができますように。


ゆっくり目を開け、図書室の扉をあけた。


ガラガラ…


――いない。

今日もか…。

諦めの気持ちが生まれる自分に腹が立つ。

“おすすめの本を、教えて!!”


馴れ馴れしかったんだよ。
見てるだけでいい、って自分に言い聞かせてた時にもどりたい。


――その時だった。

「…!!いた!!」


前に、一回だけ聞いたハスキーな声。


その声が、泣きそうな私を救ってくれたような気がした。


「…松村くん」

「今日からさ、また図書室に来ることにしたんだ。だから、おすすめの本、紹介する」


ポカポカって体が温かくなるのが分かる。

やっぱり、好き。


「俺が読んでるのは、この本。ミステリーなんだけど」