それから、3ヶ月。

大分、緑色の葉も紅く染まってきた頃。


和之の車で、あるホールに向かう。

この場所で、春香の従妹である唯ちゃんのバイオリンコンサートがあるんだって。
それを見に行くんだ。


会場の受付に花束を預ける。
持ち込みは禁止らしい。


「あら、今日は来てくれてありがとう。
悠月なんて大変でしょうに…
和之くんも、ありがとう。2人して可愛い格好ね。」

「相変わらず、お二人とも、ラブラブですね~。
ペアルックなんか着ている人、初めて見ました。
式にも行けなくてすみません…
仕事が立て込んでいて…
出来たら、またぷよぷよでもやりたいですね。」


そう言って話しかけてきたのは、いつか、ゲームの発売権を賭けての勝負のときに、
春香とペアを組んで戦った人。
後藤 臨(ゴトウノゾム)さん。

こんなに春香と仲いいなんて…


「ごめんね悠月。
あなたには言ってなかったけど、付き合ってるの。
一応、結婚を前提に。」


「ホントに?」


「うん。
私たちも、悠月たちみたいにラブラブでいたいわ。」

さ、そろそろ会場に入るか。
そう言う和とともに、私たち4人も会場入りした。

唯ちゃんは、お辞儀の前は顔が強張っていたけど、拍手の後からは笑顔も垣間見せていた。


唯ちゃんの純粋無垢な心の内をそのまま表現したような、澄んだ音色だった。


全てのプログラム終了後、花束を両手いっぱいに抱えた唯ちゃんが戻ってきた。