「ごめん…、俺、君の事、 そんな風に見た事、ないから……」 彼は私に目を合わせる事もなく、迷惑そうに顔を歪ませたままポツリと言った。 春の風が優しく頬を撫でる放課後の中庭。 私、桜井杏奈は 今まさに 人生最大の壁にぶつかっていた。 中等部の入学式のあの日から 四年間もの間 私の心の支えだった、 原田君に対する恋心を 失う瞬間が とうとう、やってきたのだ。