「……何で、だろ」


その日の朝は、私のそんな呟きではじまった。


何でだろう。

何でだろう。


何で私は先生に、“嫌い”だと言えなかったんだろう?


「わからない」


呟いて、玄関の扉を開ける。

すると……


「美加、おはよ」

「あ、恭ちゃん」