ケータイ小説 野いちご

月と太陽の事件簿16/さようならの向こう側

見えていない

「口止めされた話をオレにしてどうする」

達郎兄ちゃんは至極もっともな意見を言った。

「大丈夫だよ。達郎兄ちゃん以外に話す気はないし」

勉強の時間も無事につぶれたし。

でもあたしはちょっとムカムカしていた。

「オレが他人に話さないという保証はないだろ」

「達郎兄ちゃんて、おしゃべりだったっけ」

あたしはわかりきったことを口にした。

達郎兄ちゃんは余計なことは口にしない。

必要なことだって、ギリギリまで言わない(もしくは忘れる)人だから。

「達郎兄ちゃんが人にしゃべったら、その時はその時よ」

あたしは付け加えた。

「達郎兄ちゃんを信じたあたしがバカだったって思えば済むことだわ」

あー、なんかムカムカが収まらない。

「カホ」

「なによ」

「和夫さんのやり方が気に入らないのか」

…。

普段は我関せずって感じの癖に、時々ストレート投げてくるんだから。

「何か好きじゃないの」

あたしは正直に言った。


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