若い人の一人暮らしの家にしては珍しく、広くて綺麗なバスルームだ。

あたしは、ゆっくりお湯に浸かってから

バスルームを出た。

着替えも用意してくれてたみたいで

スエットの上下が置いてあった。

「超サービスいい」

ちょっと頬が緩んだ。

No.1ホストって、こんな風にして客をとるんだなって思った。

洗面所のオシャレなカーテンを開けて

奥を見ると、黒騎士さんはソファーでぐっすり寝てた。

びっくりするくらい綺麗な顔をしていた。

聞こえるのは、彼の寝息だけで

静かだった。

夜の歌舞伎町みたいに必要以上にうるさい場所が好きで

静まり返った場所がだいっきらいだったあたしも

この妙な静けさに安心させられた。