-運命の人- 【沙織目線】
顔も好き。
声も好き。
全部好き。
でも・・・・・・ひどい男だった。
でも、でも・・・・・・今でも好きな人。
「隣、いいかな?」
こんなに近くで顔を見るのはいつぶりだろう。
久しぶりに見た大野先輩の顔は、前よりもずっと素敵に見えた。
「いいですけど」
隣に座った。
どうすればいいんだろう。
顔が引きつる。
直が計画してくれた会社の飲み会。
大野先輩が、直に“飲み会しよう”って言ってくれたらしいけど、本当かなぁ?
左隣に座った大野先輩を意識しないように、右に座る直と笑い合ってみる。
でも、完全に体は緊張していて。
大野先輩の声やしぐさひとつひとつに、ドキドキしまくってる。