なんだろう。

物凄く体がダルいし、頭痛がする。

それに、辛い。

私、どうなったんだろう。


海は重い瞼を開けた。

「・・・ん、」

知らない部屋に戸惑いを見せ、彼女はベッドから起き上がる。

隣のベッドを見ると、遥が眠っている。

だんだんと自分達が置かれていた状況を思い出していく。


(そうだ、私たち、崖から落ちたんだ。)


どうやら、ここは病院らしい。

海はフラフラとした足取りでベッドから降りると

遥の元へと歩み寄る。


「はるか、」

弟に声をかけたが、彼はそれに答えることはない。

人形のように眠る遥に、海は怖くなった。

「はるかっ、はるか、」

高熱のせいなのか、無性に寂しくなる。

ぽろぽろと涙が零れ、彼の頬を濡らしていく。

「ごめっ、私のせいで・・・私が、落ちたから、

ごめん、ごめんなさい。」

気絶する前、彼は足を怪我しているにも関わらず自分を背負って

助けを呼びに行ってくれた。

励ましてくれた。

なのに自分は、彼の重荷となり迷惑になっただけ。

このまま一生目を覚まさないんじゃないかという不安が脳裏に過る。

「や、だ。はるか、おきて。」

不安から海は遥を揺する。

遥の瞳に自分を映してほしい。

笑って、大丈夫だよって言ってほしいのに。

「うっ、・・・。」

海はずるずるとその場に座り込み、涙を流した。



ガラ、

すると突然病室のドアが開く。