■2■ ……音楽が聴こえる。 何だっけ、この曲。 あ、携帯のアラームだ。 あぁでも、もう少しだけ。 このまま目をつむっていたい。 ……心地いい夢。 大空にかかる 七色の――… 「泉穂! いいかげん目覚まし止めなさい!」 お母さんの怒鳴り声で、虹は泡のように消えていった。パチン。 「まったくもう。若い娘がせっかくの日曜に、なさけない」 「……」 あたしはヌボーッとした動作で体を起こす。