最初の内は抵抗をしていた。だが少ししてからだろうか。妙に素直になりやがって。

まるでもうこうやるのも数少なくなるから、今の内にやらせておこうと譲っているようにも見える。

彩十本人はそう言ってはいなかったが、オレにはそう感じた。

雪や月花が戻って来ないのは恐らく気を遣っての事だろう。

アイツらは賢いし空気も読めるから。


「怖いのか?」


全てが終わり、荒い息遣いのまま彩十はオレの両頬を触るとまるでうわ言を言うかのように突然そう言った。

その時オレは何も答えられなかった。

何故ならば答えを考えている時に、彩十が眠ってしまったから。

そのまま彩十を風呂に入れて、布団に寝かせて今に至る訳だが……変わらず答えは出てこないままだ。

オレは怖いのだろうか? 分からない。

怖いと言えば怖いのかもしれないし、怖くないと言えば怖くはない。