一体何が起こったのか。理解するまでに時間がかかった。

本当に熱が伝染したのかとも思ったが、彩十は胸を押さえて倒れこんだ。

オレがするべき事はもう決まっていた。苦しんだままの彩十を抱えて、真っ先にババ様の所に走った。


「おいっ! ババ様!!」


オレが激しく扉を開けたからだろう。

近くにいた連中はオレの方をじっと見て驚いている。今はそんなの気にしてはいられない。


「長様、一体何用で……って」

「細かい事は良い! 早くババ様を呼べ!」


やっと彩十も視界に入ったのか、状況を理解してくれたようだ。

そいつはすぐに走ってババ様を呼びに行ってくれた。