-―――200年前

俺はビルの影で身を潜めていた。

季節は冬。

時間は夜中。

降り積もる雪の中で俺は寒さに耐えていた。


「………寒い」


俺は両手に息を当て、暖めようとした。


『ホークよりウルフへ。
標的は確認できない』


俺の持つ通信機から相棒の通信が入った。


「ウルフ了解」


俺は返事を返した。




俺達は『G』議長隠密部隊として、議長からの命令で動いていた。

議長隠密部隊は他の部隊とは違う。

数ある部隊の中でも選ばれた者しか就任できない。

つまり、エリートのみが就任できる。

与えられた任務は必ず達成する。

感情や同情など関係ない。

俺達は生きる機械人形だ。

今回の任務は標的の暗殺―――

議長から渡された資料から、最善の作戦を立てた。

部隊の中もトップクラスの俺とウルフが着任した。




「ウルフよりホークへ。
予定の時間になったが標的は来てないか」


俺の目の前にある道を標的は通るはずだ。


通る時間も調べた。

だから、俺達はここに待機している。


『ホークよりウルフへ。
この雪だ。
きっと車が通りにくいんだろ。
気長にいこう』

「ウルフ了解」



俺は任務に集中した。

この世界に来てから400年。

数多くの戦場を体験した。

それでもなれないものだ。

戦場の空気は………