「やっちまった…」

手元の腕時計は既に24日を3時も過ぎた時間を指し示していた。
飲み会があることを告げた時のこのみの悲しげな顔が頭をよぎる。

最近どこか俺に遠慮がちになったこのみは、どうも俺の仕事に気を使っているらしかった。就活を通して学んだのだというこのみに何かを言うことは出来ず黙っていたが…。
それでもこのみの目に日に日に積もっていく寂しさを分かっていたからこのビッグイベントに乗じてめいいっぱい甘やかそうと思ってたのに…。

このみがこのクリスマスを楽しみにしていたのはよく分かっていた。本人はばっちり隠しているつもりらしいが周りからすればバレバレなのがこのみのカワイイところだ。

そんなこのみに最高のクリスマスをと思っていた矢先に舞い込んできた飲み会の話は独身先輩の嫌がらせとしか思えない。

が、運送会社なんてバリバリの体育会系の会社、縦社会の染み込んだあの場所でまだまだ若い俺が誘いを断っていいはずがなかった。