「だいぶ治ってきたようだね」


リオルという名前を彼女に与えてから三日。
彼女の負った怪我はほぼ完治していた。


「ご迷惑をおかけしました」


その言葉に、ウィズは僅かに顔をしかめる。

「そんな堅苦しい言葉づかいは、やめておくれ」


「ですが、主様には――」


「その“主様”という呼び方も、やめておくれ。ウィズでいいから」


「…………」

困ったように、リオルは黙りこむ。


少しでも、奴隷という立場から解放させてあげたい。
だから、主従関係もいらない。
ウィズはそう思っていた。