「あぁ、そういえば まだ君の名前を聞いていなかったね。 僕はウィズだ」


君は? と訊ねると、少女は 口を閉ざした。


( デイジー。 それが 貴方の名前だよ )


「・・・・・私、は」


( 今日からお前等に名前なんて、必要ねぇんだよ )


「・・・・・・・S-02です」


その言葉に、彼は首をかしげる。
それは明らかに名前などではなく、彼女の頬にある焼印の言葉だった。


「奴隷に名前なんて、ありません。 強(し)いて言うのなら、S―02 それが私の名前です」


「・・・・S―02、ねぇ」


そう呼ぶのは、あまりにも可哀想すぎる。
彼女は確かに奴隷かもしれない。 けれど、ウィズは彼女を奴隷として扱う気など、まったくない。