侑希side


バタン……

私は家のドアを閉めた。


正直、どうやってここに帰ってきたのかわからない。


そもそも、この家に入ったのは二度目だし。


家、と呼べるほどここにいた訳じゃない。


ただ、マスターの命令を遂行するために用意されたものだから…

いまはここが私の”家”。










ドクン…ドクン…


やっと一人になったのに私の心臓はまだ大きく波打っている。




…あのとき、私はどうしても動揺を隠せなかった。


あの男は無意識に呟いた様子だったのに…


それが分かったのに…


反応してしまった。


なぜ?

なぜ彼が知っているのか?




私の頭の中はそれしか考えられない。