気まずい雰囲気のまま、私達は家に帰った。


「ただいま……」


「お帰り……って、お姉ちゃん、その服どうしたの!?」


「ああ、香取さんに……」


「買ってもらったの? いいなあ。ねえ、私には?」


「あ、ごめん。今度ね、郁美ちゃん」


「ダメよ、郁美!」


「やだなあ、冗談だってば……。お姉ちゃん、そのワンピース、すごく可愛いね!」


「そう?」


買った荷物を香取さんの部屋に運び終えると、すぐに帰ると香取さんは言った。


「荷物は今度来た時整理するからさ。今日は本当にごめん」


「もう帰っちゃうんですか?」


郁美が甘えたような声で言った。素直な郁美が羨ましい。


「うん、ごめん。また来るから」


「いつですか?」


「ん……近いうちに、会社の帰りに寄らせてもらうよ」


「は〜い。待ってますね?」


「じゃ」


香取さんが、私の目を覗き込むように見た。


私はつい目を逸らしてしまい、「さようなら」とだけ言った。