プロポーズの後、私と亮は家へ向かっていた。
すぐに私の両親に挨拶したいと、亮が言うから。

「ご両親はいるかな?」

「この時間ならたぶん、いると思う」

「妊娠の事、ご両親には話したのか?」

「ううん、まだ」

「俺の事も?」

「話してない。私は野田さんとお付き合いしてる事になってるの」

「野田?」

「あ、お見合いした人」

「そうか。じゃあ、驚くだろうな」

「でしょうね。驚くだけじゃ済まないと思うわ。
ねえ、やっぱり今度にしない?」

「しない。ずるずる引き延ばすべきじゃないよ」

「うん、確かにそうね」