それ以来、俊との関係はぎこちないものになった。どちらともなく互いを避け、会話はほとんど無くなってしまった。

母は、俊の入学式の前日に泊まりに来た。

布団がないので、母には私と一緒に寝てもらった。シングルベッドだから狭いんだけど、母も私も小柄なので何とかなった。

「あなた達、喧嘩してるの?」

「ううん。どうして?」

「二人とも元気がないし、ろくに会話もないから…。何かあったの?」

「何もないから、心配しないで?」

「そう? 美雪、あなた少し痩せたんじゃない?」

「そうかな。カロリーの摂りすぎに気をつけてるから…」

「それ以上痩せてどうするのよ? 若いんだから、いっぱい食べなきゃダメよ」

「はい」

「ところで、美雪にはどなたか、いい人はいるの?」

「付き合ってる人は…います」

「あら、そうなの? どんな方?」

「会社の先輩です」

「今度会わせてね?」

「はい、今度…」