叫んだのは、彼女じゃなくてあたしだった。



漫画ならここでヘタレ込むんだと思うんだけど、体が硬直していてそれどころじゃない。



ピクリとも動かない山田川さん。

鎌は鮮やかに彼女を貫き――。


あたしは見た。この目でハッキリと。



死んだ?

殺されちゃったの?



違う。

血が出てないんだもん。


生徒会室に横たわる山田川さんの体は無傷で、彼女の着ている服にさえ傷はついていなかった。


幻覚をみたんだろうか。

それとも、真実を見たんだろうか。


寿命。

そうだ。

彼女は寿命を切り取られたんだ。


叫んだ口を咄嗟に押さえたけど、彼らはあたしには目もくれず。

シグレと呼ばれた彼は、今も尚意識を失っている山田川さんを見下ろしていた。


「記憶…どうすんの?」

彼女の枕元へとしゃがみ込んだシグレが、生徒会長に尋ねる。


「テキトーによろしく。二度とあんなことをしないように弄っといて。」

「……了解。」