その日の夜、美佳が俺の家に訪ねてきた。


――ピンポーン


「はーい!……あ、美佳じゃないか」

「夕斗いる?」

「いるけど、上がってく?」


隼人は、美佳を家に上げた。



――コンコン

「はい」

「美佳、来てるぞ。お前に用があるんだと」

「……美佳が?」


俺はドアを開けて、美佳と隼人の存在を確認する。


「何?どうしたんだよ」

「どうしたんだよじゃないわよ。ちょっと聞きたい事があるの。入っていい?」

「いいけど」


俺は美佳を部屋へ入れる。

隼人は黙って自分の部屋に戻って行った。


美佳のやつ、怒ってんのか?


「今日の昼間、購買行った後何で2時間も授業サボったの?」

「それを聞きに来たのか?」

「その後は体育で別だったし、帰りもスタスタ帰っていくし」

「何でわざわざ聞くんだよ。俺だってなサボりたい時はあんだよ」


藤沢の事を話す必要は今はない。

そう思ったから話さなかった。


「そう。だったら何も言わないわ。ねぇ、明後日の土曜日なんだけど、買い物あるから付き合ってくれない?」

「悪い、土曜日は親父に留守頼まれてるから家出られない」

「……そうなんだ。ならいい」


美佳はそういうと、スタスタ帰って行った。


「……ハァ」


溜息をついて、ベッドに横になる。

その時ドアから隼人が姿を見せる。