──夕食も終えた一同は、月のない星空を眺めつつ食後の余韻に浸っていた。
ティリスは大きな木の下で寝転んでいるベリルを見やり、おもむろに立ち上がる。
「おい」
「大丈夫」
少し話がしたいだけだからと、歩いて行くティリスの背中をリュートは黙って見送った。
「ん?」
星空を仰いでいたベリルは、隣に腰を掛けたティリスを見上げリュートに目をやる。
しばしの沈黙のあと、
「あたしたち。これからどうなるのかな」
見下ろす小さな笑顔には、少しの不安が見て取れた。
元の世界に戻る事が出来るのかすら解らないのだから、無理もない。環境については双方、共にこの世界に順応可能な範囲であった事は幸いだ。
彼女の不安を取り除きたいのは山々だが、この状況で理想や推論を口にするのは今後に危険を孕ませる要素となり得るため、避けたいところではある。