「何故お前が泣く」

「貴方は化け物ではないのに、何故化け物扱いされなければならないのでしょう。
悲しい話です。

「と言うか、今思ったのだがお前はこの話を」

「知りませんでした。私、あの里で生まれ育った訳ではないので」


永のその後の話によれば、この事件が切欠で人は森へ訪れる事はなくなったそうだ。

桜も永自身が酷く精神的に傷付き、咲く事もなくなった。

そして今でも永は桜を咲かそうとはしない。


「藤市は俺がどん底にいた時にやって来た男だ。
雪が約束を果たしたんだって最初は思ったよ。
だが男を相手にするほど、俺は飢えてはいないからな。
その所為か今でも不思議だと思っているよ。あいつは」