時計の針は、既に0時を回っていた。


 涼子は今日も講義の後にはバイトがあったようだから、眠いのを我慢して私に付き合ってくれているのだろう。


 そう思う時、涼子には本当に申し訳ない事をしていると分かるのだけれど、



だけど今、電話を切ってしまえば、ちっぽけな私など易々と“孤独”に押し潰されてしまいそうで――…


「ごめんね、涼子。遅くまでありがとうね。
 後もう少しだけ、いい? お願い」


 自分勝手と知りながら、


優しくない子になっていると知りながら


だけど今夜だけは“ひとりにしないで”と、涼子に懇願せずにはいられなかった。





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