ケータイ小説 野いちご

ビー玉がほしいです。

夏の庭にて

ビー玉がほしい。

少女は瓶ラムネを買う前から思っていた。

新しい靴を買ってもらったのはもう少し先の夏祭りのためで、と心の中でうそぶく。

本当は、ただ欲しかっただけ。
水色にラメとヒール、足に巻き付くストラップ。全てが大人になった気分にさせてくれる。

それからしばらく、その靴をはいて毎日のように出かけた。

自転車はまだ乗れず、歩いていく。

その日、友人の家で玄関に座り込み、ゆっくりと靴をぬいだ。

「いいなぁ」

その言葉に嬉しくなる。

蚊取り線香のにおいと畳のにおい、友人の家は居心地がよかった。

じわじわと滲む汗は扇風機の風にあたると冷たくて気持ちがいい。

「暑いでしょう?」

そう言って友人の母が持ってきた瓶ラムネに少女の目が輝いた。


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