いつの頃からか風が吹けば寒さを感じるようになり、青々とした葉は次第に薄く色付き始めていた。

身に纏う制服も衣替えをして、ようやく年の半分に差し掛かった、季節は秋。


俺は重大な悩みを抱えていた。


「また、か……」


誰にも聞こえないようにボソリと呟いた言葉。

それは、隣の席に座る彼女に向けてのものだった。


彼女が気になり初めたのは二学期が始まってすぐ。

と言うのも、夏休み明けの席替えで席が隣になり、その存在を否応なく知ることになったからだ。

今まではその存在さえ気にも止めていなかったのに。


けど、オレは知ることになる。


窓際の席の彼女がいつも窓の外を見ていることを。

そして、涙目なことを。


オレは……、そんな彼女、“雪村舞”がなぜか気になる。