「いらっしゃい〜!!」

班に連れて行かれていきなり抱きついて来た井上さん。

「こらー!!ぽっくん!!」

30過ぎくらいの、男性が井上さんを叱る。

「いきなり抱きつかない!!」

そう言って井上さんをあたしから引き離した。

「ボクの恩人に何をする〜!!」

井上さんはその人の背中を軽く叩いた。

「お前は高校生に助けてもらった訳?」

その人は視線を井上さんからあたしに移すと

「色々お世話になったみたいで…
ありがとう」

優しい笑みを浮かべたその人の胸元を見ると社員証には

『三木 尚志』

と書かれてあった。