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「なぁ、分かってんの?」




薄暗い小さな資料室。


窓1つ無い、
ほこりまみれの小さな部屋。


目の前にいる知らない男。




あたしは薄汚い壁に
押しやられていた。



あたし、
林原 希帆<ハヤシバラ キホ>は

楽しい昼休みに
目の前にいる知らない男によって
ここに拉致された。



しかも今、
両腕をしっかりと掴まれたまま。



力が強くて全く動けそうにない。




正直、一生の不覚。


いつも体力だけが
唯一の取り柄だったのに…。




「…だからお前分かってんの?」


「はい?」


「追い込まれてるって状況」


「そりゃ、分かってるけど…
ってゆうか手離してよ!!」


「やっぱ、威勢のいい奴」


「その前にあんた誰よ?
用件は何?こんな奴に恨まれてる覚えないんだけど?」


「じゃあ、思い出してみなよ」




そしてその男は妖しく笑った。