このメモ一枚で少しは警戒心が解けたと思ってもよいのだろうか?
彼女に限ってそんなことはないか…
そういう結論に辿り着いて、俺は皿洗いを終わらせ、リビングに戻った。


でも一応『ありがとう』って言われたわけだし…
そう思って、彼女に向かって口を開く。


「どういたしまして。」


彼女はちょっと気まずそうに俺の方を見た。
そんな彼女の表情の次に俺の目に飛び込んできたのは頬の傷。
擦り傷とは違う。
むしろ殴られた感じがする。
かなり強い力で。


『何?』

と言いたげに彼女は俺の目をじっと見つめる。

「いや…」

と俺は言葉を濁す。
今、彼女の傷のことに触れてはいけない。
なぜだかそう思った。