昼休みになって、逃げ出そうとしたらひなちゃんに見つかって、無理矢理屋上に向かわせられた。


「はぁーーーっ。」

なんだよ、これ。

どうゆう罰ゲームでしょうか?
こんなの、嬉しいのファンクラブの人たちだけだよ!!

(王子にはファンクラブがあります。)


てか、私、なんで!!
望月に気に入られてんのですか?!


「なんなんだよぉぉー。」

「よ!唯璃!」

「はいぃ?!」


誰かに後ろから声をかけられ…、
これ、今日何回目??

私、驚きすぎだし…
3年くらい寿命縮んでるよ。

なんてことを思いながら、振り返った。

「ゆ、唯璃、驚かすなよ…。」

いや、あんただよ。

振り返っていたのは、幼なじみの楠木颯(クスノキ ハヤテ)。


「なんだ、颯か…。」

驚いて損しちゃった。

「は!なんだよ、その反応。」


いや、普通の反応だよ。

きみの登場、誰も期待してな…
かわいそうだからやめておこう。


「で、なぁーに?」


「あ?あぁ、やたらジメジメしてる背中が見えるなぁとか思ったら、唯璃だった。から、声かけただけ。」


な、何!!
ジメジメ?!


「私そんなにジメジメしてた?!」

「うん。」



は、恥ずかしい…。
目立ってたかな………


あぁー゙!
と奇声をはっしながら、ガクゥとうなだれた私を無視して颯は聞いてきた。


「どっか行くのか?」


はっ!
そうだ!望月に呼ばれてたんだ!!


やば、行かなきゃっ!!


「あわわわ!!颯、私用事あった!ばいばい!!」


「ちょ?!おい、唯璃っ!!」

颯に背をむけて私は走りだした。

焦ったように、颯によばれたけど

「ごめんごめーん!!」

と言って、屋上に向かって走っていった。









残された颯が

「…唯璃…。俺は、お前が遠いよ…。」

と呟いたのも知らずに。