深々と降り続けた雪が、白銀世界を作り出した次の日の朝。


私は、いつの間にか眠ってしまっていたらしく、パジャマに着替えていない状態に気がついた。


化粧も落とさずに寝るなんて、ほんと最悪。だけど、それすらできないぐらいに疲れていたのかもしれない。


まだ、眠気が抜けない中、目をこすり私は、ゆっくり立ち上がった。


「ハァ…何か、変な夢を見てたのかも…」


キッチンに向かいながら、私は小さくそう呟いた。


冷えた体に、温かい珈琲を与えるべく、私はコップを手に取って、作っていく途中に、ある事に気付いてしまった。


昨日の事は、全て夢?


怪しげな翁、リッキー、謎のディーラー、資格、赤い玉、全て夢だって事?


彼氏に振られた事も夢?


どさくさに紛れて、振られた事も夢の話にしてしまおうとする私。


いや、今でも夢であってほしいという希望に過ぎなかった。